TBSの金曜ドラマ「リコカツ」が素晴らしい。
前作「俺ん家の話」は、伏線もなく最終回に主人公が死ぬという噴飯だったが、今回はそうではない。クドカンという作家性だから許されるということらしいが、これではシナリオライターを目指す者たちはタマラナイ。
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世の中の反応はどうなんだろう。
やはり。というべきか、俳優と役柄の相性。劇の舞台(自衛隊・ファッション誌の編集)の感想ばかり。つまりは、表層。
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この作品の最大のすばらしさは、ヒロイン・ヒーローの抱える家族観が、正反対なところ。−−−これは17世紀フランス古典演劇理論における「内的整合性」に合致する。
北川景子: 個人主義的な家庭観・自立的な女性像。
瑛太: 儒教的な家庭観・封建的な女性観。
瑛太: 儒教的な家庭観・封建的な女性観。
それが、主人公ふたりの〈意志・哲学・行動規範〉の根本にある。瑛太の家族に関しては、それが「家訓」として明文化されているのが効果的。
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離婚を決意した主人公のふたりが、親の離婚を知り、離婚することを伝えられないという〈設定〉もいい。−−−古代ギリシアのミメーシス理論的な「ありがちな設定」
だからこそ、これから観客を裏切ってストーリーは展開していくのだろう。
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ストーリーは基本的に、主人公のふたりの〈対立〉が表で、その裏で、「共感」が芽生えていくのだろう。
恋愛は、好き・嫌い。
結婚は、損得勘定。
だが、一緒に時を過ごすと、愛着・撞着も生まれる。
結婚は、損得勘定。
だが、一緒に時を過ごすと、愛着・撞着も生まれる。
ましてや、「テレビ表現の都合」だけでなく、この男女、一度も性交していない。つまり、(やっちゃった後に別れる)成田離婚よりも、もっと手前。出国ゲート離婚って感じ。
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ミキティー夫婦は、夫婦喧嘩をしても、夜を越えれば仲直りするという。勿論、ゴマキのように朝からやってもいい。案外、このドラマ。同衾してエンドマーク。そんな感じかもしれぬ。