2007年12月20日

自虐史観の日本とグローバリズムのアメリカ。それはコインの裏表

いまだにプロレタリア文学を教える日本の国語教育。

教科書では、吉野弘氏の「夕焼け」を読めというから、読んでみる。

いつものことだが
電車は満員だった。
そして
いつものことだが
若者と娘が腰をおろし
としよりが立っていた。
うつむいていた娘が立って
としよりに席をゆずった。
そそくさととしよりが座った。
礼も言わずにとしよりは次の駅で降りた。
娘は座った。
別のとしよりが娘の前に
横あいから押されてきた。
娘はうつむいた。
しかし
又立って
席を
そのとしよりにゆずった。
としよりは次の駅で礼を言って降りた。
娘は座った。
二度あることは と言う通り
別のとしよりが娘の前に
押し出された。
可哀想に
娘はうつむいて
そして今度は席を立たなかった。
次の駅も
次の駅も
下唇をキュッっと噛んで
身体をこわばらせてー。
僕は電車を降りた。
固くなってうつむいて
娘はどこまで行っただろう。
やさしい心の持ち主は
いつでもどこでも
われにもあらず受難者となる。
何故って
やさしい心の持ち主は
他人のつらさを自分のつらさのように
感じるから。
やさしい心に責められながら
娘はどこまでゆけるだろう。
下唇を噛んで
つらい気持ちで
美しい夕焼けも見ないで。


娘よ。何度もすわるな。話せよな。コミュニケーションしろよな。いじけてんじゃないよな。それでいて、唇をかみしめたり、身体を固くして、自分の不快さを表現するなど、最悪の女だ。こんなことでつらい気持ちになるなど、マッチ売りの少女ほどの不幸を持っていないのに最低の女だ。
誰よりも、まず君の存在が世の中を暗くしている。周囲のために、もっと明るく振舞いたまえ。お前の善意など、世の中の足しになどならぬ。傲慢で卑屈な善意だ。

*

こんなキャラクターが宮崎駿のアニメに出てきたら、主人公ではない。暗いクララだ。そういう暗い世界を日本の未来を背負っていこうとする少年少女に押し付けようとする根拠を私は理解できない。
こんな詩を鑑賞しようとすすめる日本の国語教育は歪んでいる。




そこには人権・自我の概念はあるが、集団やコミュニティーの機微といったものが、異様な価値観の低さを持って扱われている。そして、コミュニティーが登場するにしても、それは個に対峙する全体であって、多様で折り重なる部分集合の存在は捨象されている。
個は個と向かい合うだけで、個が含まれるコミュニティーは全体・母集合しかない。そういう歪さを教科書から感じ取らない人が多いのは不思議である。



中学校の国語教材同様に、日本のジャーナリズムも同じ妄念に捉われている。
フラットを強調することは、部分集合を捨象することである。
世界という母集合に対して、部分集合という日本・日本人・日本民族・日本列島に住んでいるというコミュニティーを捨象する。
アメリカ人はアメリカという部分集合を捨象することにより、アメリカニズムをグローバリズムという自己肯定に導いた。一方の日本人は日本という部分集合を捨象することにより、自虐史観に捉われた。そのように日本人を導いたのはGHQである。

そのような構造に気づきもせず、自己批判が知性的であると妄信し、左翼的ダンディズムに覆われているのがマスコミ界の人達である。幼少期にGHQが捏造した言論。そのような一神教的な二元論を刷り込まれてしまった人。そして、その後の人生でそれを疑わなかった人たちがあまた存在する…。

彼らが、ウェブ・フラット論を紡いでいる。
だが、本論で図示したように、コミュニケーションは線分が増えるにつれ、コミュニティー化する。そして、コミュニティー化されたコミュニケーションは活性化することにより細分化する。これは必然である。
フラットなどという妄念にごまかされてはならぬ。
フラットとはホーリズム(全体論)である。ホーリズムが幸せにする人の数は、パレートの法則による。単一のコミュニティーを前提にフラットを語るのは残忍な魂である。

世の中を複雑系(Complexity)などと嘆いてはいけない。思索の中で部分集合を見つけ出し、その部分集合のさらに根っこにある部分集合を探索しなければならぬ。そして、その探索の終着点が個である。
個までの道程は長く・深い。
posted by スポンタ at 07:04| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 集合的コミュニケーション論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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