2007年07月17日

CJ論03:ふたつの「サイバージャーナリズム論」。2003年と2007年の乖離というよりも、既存のビジネスモデルの価値観でインターネットを語ることに価値はない。

CJ論01で指摘しているように、情報発信者(ステークホルダ)の論理でインターネットを語ることに妥当性はない。

エバンジェリック(IT業界御用達)な言論がIT界を席巻しているが、それらは、広告費を引き出したり、ベンチャーキャピタルを誘導することには寄与するが、その実効性は定かではない。




最近のエントリーでは、2007年のインターネットが「キャズム」にあると指摘している。

エバンジェリストたちは、イノベーターに続く人達。アーリーアドプターを導くに過ぎない。
一方、ジャーナリストは、アーリーマジョリティーを導く人達であり、その社会的影響力は莫大である。

そして、あえて指摘するまでもないだろうが、インターネットはイノベーションの時代が終焉。
技術がネットの形を決定する時代は終わり、消費者動向がネットの形を決定する時代がすでに始まっている。


*

つまり、ブラウン管にイの字が映ったといって驚いている時代は終わり、力道山の街頭テレビの時代(メディア提供型情報)も終わり、クレージーキャッツの時代(ディア作成情報)も終わり、「スター誕生」「君こそスターだ」の時代(ユーザーのメディア者化情報)も終わり欽ちゃんの「どんと行ってみよう」(ユーザー参加型情報)や、の時代も終わったのである。

このテレビの時代の比喩が何を表現しているかといえば、いままで、視聴者は、せいぜいのところ、番組制作部にしか関与してこなかった。

だが、これからは視聴者(ユーザー)が、インターネットというツールを使って、番組編成部(番組表という、番組の重要度のメタタグをつくってきた部署。)にまで、関与してくるということ。


さすがに視聴者がテレビ局の経営にまで関与することはない。
だが、株主や広告主の圧力を通じて、それらがまったくないということではない。

*

今、インターネットで起きていることは、IT関連ビジネスのコモディティー(普及商品・定番商品)化。

その状況の中で、IT関連企業はマージン低減という悩みを抱え、すでに投資された経費を回収できないでいるとともに、一方では、過去の利益構造の栄光にすがりつく…。

自らを変えられぬ者・過去を捨てきれぬ者の多くは、時代の表舞台からの退場を余儀なくされる。


そのような状況と無縁なのは、マーケットとは無縁であるアカデミズムであり、地上波という寡占企業たちだけ。

2003年のサイバージャーナリズム論が、2007年において陳腐化して見えるのは、そのような言論者たちの背景があるためであって、4年の時の流れを反映してのことではない。

2007年本、アカデミズムにステークホルダーを持つ発信者は少ない。そして、数十ページに過ぎぬとしても、ネットユーザーに過ぎぬ私が発言権を得たということが、時の流れなのかもしれぬ。



「サイバージャーナリズム論」という同名の著作である。

2003年の東京電機大学出版局がつけた副題は、「インターネットによって変容する報道」である。

一方、2007年の東京財団の研究会とソフトバンク新書がつけた副題は、「それからのマスメディア」である。

その違いは何かといえば、2003年本が、発信者たちの言論に終始したことにある。
確かに、2003年本にも、ネットユーザーに関する記述はある。だが、その形容は、クレーマーであったり、便所の落書き者でしかない。


2007年本がどうかといえば、少なくとも、受信者たちの言論が視野に入っている。
とりあげられるネットユーザーも、CBSのキャスターを降板させたブロガーたちが紹介されている。勿論、私を除けば、ネットユーザーの言論を否定的に見る論者が多いことも事実だが、その文脈は画期的に変化していると感じてならぬ…。

2003年本の最終ページには、次のようにある。

インターネットの普及によって普通の市民がジャーナリズムの担い手として「ウォッチドッグ」の役割を果せるようになるだろう。

一方の2007年本で私は、「ウォッチドック(社会の木鐸)」など、自警団のボスや他人の生活に介入したがる世話好きな長屋の大家さんに過ぎない。と、指摘する。

歌川先生は、自章の最終部において、「仲介者」という言葉を選んだ。

ジャーナリストとは介入者ではなく、仲介者。つまり、コメンターではなく、コミュニケーターであるということを指摘したかったのかもしれぬ…。

仲介者の中身については、ぜひとも2007年本を手にとって読んでもらいたいものである。

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