2021年01月02日

「芸能人格付けランキング」とポストモダン。

昨日元旦。正月恒例番組「芸能人格付けランキング」を観た。

例によって、GACKT氏は、連勝記録を伸ばしているが、テレビである。私達の世代は「クイズダービー」のはらたいらを覚えている。


生前の野村克也氏が出演し、ワインの品評に関して、

・評価基準が分からないからなぁ〜

とボヤイテいたのを印象的に覚えている。

正解にたどり着くには、「自らの感性を磨く」のではなく、「評価基準を知る」のが近道であると、知将は悟っていた。
  

昨日の番組。

世界的なダンサー・KENZO氏を当てるクイズで、倖田來未嬢が、

・ポップしている感じがあるから、Bの人がKENZO

と発言すると、GACKT氏は納得していた。

我が娘に言わせると、A氏のダンスは「動作にキレもあり、早い」が、BのKENZO氏は「(より)カウントを感じさせる」
とか。

私の評価基準は、ダンスの理想である「リラックス&アイソレーション」。身体の弛緩と、動きの独立分散処理ができているかどうかである。

KENZO氏がダンスの動きを解説していたのは、同じ、「床にあるペットボトルを持ち上げる動作」でも、

・手で持ち上げる

・肘で持ち上げる

・背中をつかって持ち上げる

のそれぞれで、様子が異なるのを「動いて」見せた。

KENZOの踊りの所作は、ひとつの動きでも、3種類のニュアンスを演じることができる。それを可能にするのが「リラックス&アイソレーション」である。

倖田來未嬢が指摘したのは、踊りにシズル感があること。つまりは「正確に踊る」のを超えて「表現するダンス」になっているということ。

娘がいうカウントとは、「動作がズルズル続いている」のではなく、「カウントのポイントが強調されていて、その間が自由な感じ」のかもしれぬ。


プロの吹奏楽団と、(全国大会金賞レベルの)高校生の吹奏楽団の演奏を聴き分ける問題。

娘は、シンバルの音が違う。と、評価基準を明らかにした。
彼女はドラムをやっていて、日野皓正バンドのドラマーから指導を受けていた。つーことは、練習場で日本トップクラスのドラムの音を体験し
ていたことになる。その時に娘が驚嘆したのは、

・同じシンバルを叩いているのに、まったく音が違うこと。

どんな楽器でも、プロとアマの音の差はあるのだろうが、単純な楽器こそ、「違いが分かりやすい」。つか、シンバルは他の楽器の音を突き抜けて聴こえてくるから分かりやすい。倖田來未嬢も、ハイハットシンバルが違うと発言していたっけ。


一流芸能人ならば、「日ごろから感性を磨いている」という仮説に基づいて、この番組は構成されている。

「高級ワインを飲んだことがある」なら、1本100万円の高級ワインとコンビニで売っている1本2000円のワインの違いは判るだろうということ。

それは、「どちらが美味しいか」ではなく、「一流人は高級品を好む」ってことだから、ことは複雑。

貴腐ワインと一般的なワインは別種といってもよいのであって、吟醸酒・純米酒など、磨きの手順の高級・低級を表現したものではないだろう。

つか、そばでいえば、「田舎orせいろ」。つまりは、そばの実をどこまで削るかの度合いが、「高級そば」なるせいろ。「庶民的そば」といえる田舎を分けるが、「高級・庶民的」な差が「うまい・まずい」の差とはいえぬ。

高級品・シルクのパンツは気持ち悪く、綿のパンツが気持ちいい。そんなものかもしれぬ。


工芸品であれば、蒔絵や象嵌のち密さで、高級品と汎用品の違いは分かりやすい。

近所の美術館(三菱財閥の墓所にできた静嘉堂・・)が窯変天目を収蔵しているので、自転車に乗って娘と見に行ったことがある。

私は娘に、茶器は通常「有職故実(しきたり・伝統)」によって評価基準がさだめられるが、窯変天目は「ぱっと見ただけで、誰でも美しいと思える」。そこが凄いと解説した。

・・・最高級茶器の井戸茶碗のひなびた景色のすばらしさなど、素人には分かりにくい。

家光が春日局に下賜したなら、信長・秀吉・家康も触ったであろう名品。というようなことではない。

犬の品評会では、犬種によって理想の容姿が決まっている。つまり、この種類では、シッボが上に上がっているのがいい。この種類ではシッポが下に垂れ下がっているのがいいと、決まっている。面相にしても、ブスなほうが評価される犬種もある。


「芸能人格付けランキング」は、主観主義の時代のものだが、「評価基準を明確にした審美眼」によって正解への近道があることを教えてくれる。

すばらしい。




posted by sponta at 04:44| 東京 ☀| Comment(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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