2020年02月23日

挟間美帆さんは「ジャズのターミネイター」である。

※ ターミネイターとは、「最終的に終わらせる人」の意味である。

挟間美帆嬢。


松田聖子の「ハートをロック」の歌詞で、作詞家・松本隆は、主人公をクラッシック音楽のコンサートに連れていかせ、

・「ビートがなければツマラナイ」

と嘆息させる。

クラッシックには「ビートがない」。

ロックには「ビートがある」。

ロックが耳に馴染んでいるヒロインには、「ビートがなければツマラナイ」。

松本作詞家の言葉を引用するまでもないが、「ロックの根幹」は「ビート」である。


では、ジャズでは・・・。

ジャズで一番重要なものは「スウィング」である。

スウィングを説明すると、音出しにおける「メトロノーム(タイム)からの微妙な乖離」。

スウィングとグルーヴは同義だが、コンピューターミュージックでは、グルーヴを生み出すために、「グルーヴ・クオンタイズ」というパラメーター(設定するための指標)がある。

「スウィングしなければ意味がないよ」というスタンダード・ナンバーをあげるまでもなく、「スウィング」はジャズ最大の魅力である。


だが、どうだろう。

直近のグラミー賞でノミネートされた日本人・挟間美帆嬢のジャズは「スウィング・グルーヴしない」。


民放唯一の「器楽合奏専門番組」となってしまったテレビ朝日「題名のない音楽会」は、挟間美帆嬢をゲストに迎え、彼女の曲を賞賛する。番組中、指揮者の沼尻竜典氏は、ポリリズム(リズムをいくつも組み合わせた複雑なリズム)を使っていて、良くできていると感心した。

だが、ポリリズム。つまりは「複雑なリズム」だと、演奏者は「譜面どうりのリズム(譜割り)」に演奏することに集中するため、グルーヴできない。つまりは、彼女が作曲した「ジャズの曲」は、ジャズにも関わらず「グルーヴしない」。

名門ビッグバンドの指揮者だという彼女のバンドの演奏を観て、さらに落胆する。

・ドラマーが指揮者の棒に合わせて演奏している。

これはジャズではない。

ジャズの常道は、ドラム・ギター・ベースのリズム隊が「カウントをきっちり刻む」。その上でホーンセクションがグルーヴを試みる。

指揮者の棒に演奏者が従ったなら、「グルーヴしない・できない」。


Wikipediaで彼女の経歴をみて納得する。

まず、

・(ウェブに批判する人が多く存在する)ヤマハのジュニア・コンサート出身
※ 批判の理由は、タイム感の無さ。

さらに、

・「タイム感のない演奏家(山下洋輔氏・小原孝氏)」を多く輩出した国立音楽大学を卒業している。
※ 東京芸大はタイム感の重要さに気づいている。

さらに、

・(山野コンクールの常勝団体だった)国立音大のニュー・タイド・ジャズ・オーケストラへの参加。

国立音大の演奏の特徴は、ハイテンポと複雑なリズム。つまりは、現在の美帆嬢がつくった曲と同じ傾向。「音楽大学のバンドが一般大学のバンドと競うべきではない」との理由で、同バンドは山野コンクールへの参加を辞退するようになったが、「(ウェブには)スウィング・グルーヴしないバンドはダメ」と、常に批判する人たちが存在していた。
国立音大のバンドが出場辞退した後、常勝バンドになったのが慶應義塾ライトミュージックだが、同弊である。

そして、
彼女を番組に誘ったのが山下洋輔氏。噴飯ものなのは、「題名のない音楽会」の番組中、スウィングの定義は世界的にもできていないと高砂高校のビッグバンドの高校生たちに嘘を言ったこと。グルーヴクオンタイズという人工演奏によるスウィングの再現ができているんだから、定義もできているはず。

・山下洋輔氏は「グルーヴできない」。

彼女が編曲した曲を振ったのが佐渡裕氏。

・佐渡裕氏には(グルーヴのもとになる)タイム感がない。

さらにいえば、佐渡裕氏の師匠筋の小澤征爾氏は、

「タイム感がないからN響にボイコットされた」。

そして、今回の番組で彼女の曲を賞賛した沼尻氏は、小澤氏の弟子である。

ブザンソンの国際指揮者コンクールは、「タイム感の有無」に頓着しないのだろう。

そして、グラミー賞も「グルーヴ・スウィング」しないことを致命的な疵としない。映画のアカデミー賞も映画「セッション」を評価したのだから、「グルーヴ・スウィング」を理解しない。


挟間嬢の楽曲を聴く限り、「(ジャズ風な)ポピュラー曲」。

つまりは、ガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」やバーンスタインの「ウェストサイドストーリー」と同じジャンルである。

番組に出演した彼女のバンドの楽器構成をみれば、彼女がスウィング・グルーヴを目指していないことが分かる。

ビッグバンドなのに、バイオリン3+チェロ1+フレンチホルン。トランペット1+サックス3(ソプラノorフルート、アルトサックス、バリトンサックスorバスクラリネット)、弦バス、ビブラホン。

バイオリンは弓で弾くので、「アタック」が付きにくい。つまりは「グルーヴしづらい」。フレンチホルンも同様。

譜面に目が釘づけのベーシストが印象的。

そのような楽器構成を選ぶ時点で、彼女はもともと「グルーヴ」など眼中にない。彼女が気にするのは、ハーモニー。


「グルーヴしない」なら、ジャズマン・ジャズバンドを名乗る資格はない。

彼女が賞賛されるなら、「本物のジャズ」の居所はない。つまりは、ターミネイターなのである。

posted by sponta at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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