2019年11月11日

「かいつま」で・・・。グレン・グールド。

「自分の頭で考えるべき」。「教えるべきではない」との尤もらしい発言をする人が少なくない。

私は、それは「自分の意見に自信がない」。または、「意地悪」と考える。

剣豪・宮本武蔵は「秘伝はない」として、「五輪の書」を最晩年に編んだ。そして、各章の最後に「よくよく吟味するように」と、鵜呑みするのではなく、自分自身で「武蔵の言っていることが正しいのか判断せよ」と付け加えている。


二刀流の大谷翔平氏がすばらしいところは、「アドバイスしてくれる人」の話をきちんと聴くこと。

だが、その後、「自分の頭で考える」。
そして、「良いと思ったところ」だけ取り入れること。

教えてくれる人は「親切な人」には違いないが、「間違っていない人」とは限らないのである。


さて、
とはいえ、

「すでに知ってしまった」または「確信している」なら、それを秘匿するのは「臆病・卑怯」である。
さらにいうと、それを「相手にとって分かりやすく伝える」のが、親切というものである。

つか、

落合博満氏のように、

・「(大谷氏にバッティングを)教えるためには4日かかる。だから、教えない」

と言うの意地悪である。(彼がリアリストだとしても・・・)


でもって、「かいつまんで、説明すべき」。

略して、「かいつま」と呼びたい。


我が父は、世界的な指揮者・小澤征爾氏を「浪花節」と形容、唾棄していた。私はその真意を図りかねていた。高校の吹奏楽部には、小沢氏のファンばかり。

私が父の真意を得たのは、40歳も過ぎた頃だろう。

・小沢氏の指揮は「感情的」であり、「タイム感」が希薄である。

日本初の流行歌手・藤山一郎氏は次のように発言している。

・悲しいところは淡々と。うれしいところは少しウェットに。


父が「浪花節」と形容したのは、「悲しいところを、大げさに表現する」ことだろう。

私は、娘を通じてアメリカ帰りのドラマーから「タイム感」という感覚を知り、「我が意を得たり」と確信するのだが、「タイムを維持すること」こそ、「慎み」であり、それがないと「糸の切れた凧」のような演奏になってしまう。


さて、標題の件。

BS放送で、「グレン・グールド・ギャザリング・コンサート」というのをやっていて、かなり前のコンサート収録映像を観た。

グレン・グールドの評判や名声は知っていたが、長い間、私は「その凄さ」が分からなかった。

つか、彼の代表傑作はバッハの「ゴールドベルグ変奏曲」。この曲は、作曲依頼者の貴族が「眠りにつける」ようにバッハが作曲したものであり、この曲を聴いただけで「グレン・グールドの凄さ」は分からない。

コンサートの中心、坂本龍一氏は、

・こどもの頃、彼の演奏を真似て、猫背で演奏したら、ピアノ先生に叱られた。

とか、

・グレングールドの演奏は、それまでの他の演奏者の演奏のテンポに縛られない自由な演奏。

・「グレン・グールドのバッハの演奏は、楽曲の「全体構成」を意識して組み立てられている」と友人たちに強説していた。

と。

だが、それらは「個人の体験」「個人の感想」であって、彼のファン以外の「音楽愛好者」には、何の役にも立たない。意地悪な発言である。
そこで私は「かいつま」したい。


・グレン・グールドの凄さは、「クロノス時間(物理的な時間・拍)とカイロス時間(主観的な時間・テンポルバート)」の二つを自由に操れること。

である。

私の貧しい音楽体験でいうと、これが出来ているのは、

・スビャストラフ・リヒテル。

・YouTubeの閲覧数を誇るヴァレンティーナ・リシッツァ嬢

・バイオリンの五島龍

・・・など。


「クロノス時間とカイロス時間を独立的に持つ」ことが、世界最高峰になるための必達事項なのに、それが「(業界関係者の)暗黙知」化されている。結果、大衆は「それを理解せず、商業宣伝に殉じる」。

ヴァレンティーナ・リシッツァ嬢のYouTubeがヒット数を誇るのは、その現象の一端。


「クロノス時間とカイロス時間を独立的に持つこと」は、成長期でしか確立できない。

したがって、すでに名声を得ている音楽家にとって、「この評価基準が重用される」なら、音楽家生命は絶たれる。

この状況を察知して私は、ウェブ上で、牛田智大君に対して情報を発信したが、彼に伝わることはなかった。

彼の師匠がタイム感のない中村紘子嬢であり、今は亡き彼女をリスペクトしているなら、「牛田君にタイム感がない」のは当然。

昭和の時代は、速弾きの「美少女ピアニスト」で良かった。
だが、時代は進む。

私は、牛田君を「ショタコンの帝王」で終わらせるのは残念と、「かいつま」したが無為に終わった。


同様に、

小学生時代に、天才ジャズピアニストとして登場した奥田弦君。

オスカー・ピーターソンに憧れた彼は、速弾の天才。だが、タイム感がないので、「日本ではもてはやされても、世界では通用しない」。
タイム感がないなら、グルーヴしない・できない。ならば、「東京ジャズ」にキャストされることはない。


「かいつま」によって、時間を徒費する若い人がなくなる。

そんなことを願っている。
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