2019年09月17日

「カメラを止めるな」はダメ。

映画「カメラを止めるな」が、低予算映画なのに存外のヒット。というのは旧聞だが、ふとこんなことを思った。

・カメラを止めるなは、ダメ。

について、ちと、説明する。


映像作品には、次のふたつのタイプがある。

・「撮影後の編集(まとめる)」を前提にしない撮影。

※ 「結婚式の記録ビデオ」は、1時間の披露宴なら、1時間撮影される。(記録されない時間帯はない。すべてが記録される)

・「数分にまとめること」を前提にした撮影。

※ 「テレビ局のニュース取材」では、撮影された映像が1時間を越えていたとしても、ニュースで流されるのは、「(長くても)数分」である。したがって、カメラマンは、「編集されること」を前提に、画面構成を決定する。


小津安二郎監督の弟子・蛮さんこと井上和男監督は、

・同サイズ・同ポジションのカットは、直結してはならない。

・絵柄の違いが、カットとカットの接着力である。

と、映像編集の本質を明かしている。(今村昌平の映画学校の授業より)


つまり、サイズ的にいうと、ロングショットの次はフルショット。

ポジション的にいうと、プロフィール(横から)の後は正面。

など、撮影場所・撮影サイズを変えないと、「接着力が弱い(編集しづらい)」。

※ 勿論、例外はあって、井上監督は、映画「座頭市」で、主人公が居合い抜きで「真っ二つ」にする場合は、「わざと違和感が残る」ように、「斬られる前」と「斬られた後」を直結して編集されていると指摘した。


娘が大学にいた時、グループワークの編集を手伝ったことがあるが、撮影された素材が、「同じようなポジション」「同じようなサイズ」ばかりだったのに苦慮したのを覚えている。

シナリオや企画書、時には、絵コンテも書いているだろうに、あがってきた映像素材は、学芸会や運動会の記録映像のように、「同じサイズ・ポジション」の連続だった。

グループワークでビデオカメラを担当する学生は、映像に興味がある。卒業後、映像業界に進みたい人も含まれているに違いない。
しかし、彼らは、井上監督の至言を知らないのである。


そればかりではない。

日本テレビのインターン・ワークショップで娘と一緒になった男子学生も「同じ弊害」を持っていた。現場に出れば、「カメラマンから学ぶ」に違いないから、問題はないといえば問題はないのかもしれぬ。

・・・だが。


「カメラを止めるな」はゾンビものだというから、(spontaは)まだ観ていないし、今後も観ないだろう。

かつての「イメージフォーラム」誌が取り上げるような映像作家なら、カメラが回っているのも構わずに「強引なズーム」を仕掛ける演出も存在するが、「カメラを・・・」はどうなのだろう。

「ゾンビもの」という物欲しげなカテゴリーを狙う映像作家が、アバンギャルドな演出を勉強しているなど、期待できない。

posted by sponta at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | ドラマ・映画・演技 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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