2017年09月17日

山田和樹氏は、間違っている。

今朝、テレビ朝日「題名のない音楽会」で、世界的と形容されていた山田和樹氏が「インテンポは音楽に存在しない」と発言していたので、私は嬉しくなった。

山田氏曰く、「マーチにも、動きは必要」とのことだった。その理由は、「音楽はすべて1拍子」という記事を書いているから。

http://sponta.seesaa.net/article/453282133.html



東京芸術大学の指揮家を卒業し、国際的な指揮者コンクールで優勝した人が、「インテンポはありえない」と発言していることは、日本の、そして、国際的な音楽界の現状を、とっても、わかりやすくしている。


まず言えることは、山田氏には〈タイム感〉がないこと。タイム感とは、メトロノーム感覚である。

山田氏が致命的なのは、「メトロノームに合わせると、エモーショナルな演奏が実現できない」と確信していることである。

しかし、ギターデュオ「デパペペ」は、ステージ上にメトロノームを乗せ、それに合わせて、エモーショナルな演奏を実現している。

http://sponta.seesaa.net/article/434394909.html


〈タイム感〉という時間感覚(クロノス時間)を持っていて、それと独立したタイミング(カイロス時間)で音だしをすれば、エモーショナルな演奏が実現する。これは、ポピュラー音楽でいうところの〈グルーヴ〉である。



私の高校の恩師・松本成二先生(本年6月逝去)は、「音楽はすべて1拍子」と、山田氏の「インテンポは、音楽に存在しない」と同様な発言をしている。
教え子の椎野伸一氏(東京学芸大学教授)が東京芸大ピアノ科に進学すると、「入学して最初にやらされたことが、テンポキープの練習で驚いた」という話をしてくれた。高校1年の夏合宿。妙義山麓「ひしや旅館」での出来事である。しかし、東京芸大でも、タイム感を教えていなかった。

東京芸大を卒業して、国際的な指揮者コンクールで優勝し、小沢征爾に認められても、〈タイム感〉が分からない・知らないのだから、東京教育大学を卒業した現代国語の高校教師が、〈タイム感〉が分からないのも仕方がない。

今回の件は、私にとって、松本先生の名誉回復の慶事である。




娘が日野皓正氏のDream Jazz Bandに参加した2009年、日野氏のグルーヴを体験する。日野氏は「ジャズで一番大切なことは、スウィングすること」と言うので、私は、それが中学3年の娘にも理解できるように解説しなければならない。そこで、いろいろと調べた。
参考になったのは、菊池成孔氏の「東京大学のアルバートアイラー」という上下2巻の本。ここにクロノス時間のこと、カイロス時間のことが書いてあった。

そして、娘を通じて、Dream Jazz Bandのドラム講師で日野バンドのメンバーの田中徳祟氏から、〈タイム感〉という感覚を知る。メトロノーム感覚ともいえる〈タイム感〉から音だしのタイミングを微妙にずらすのが、〈グルーヴ〉である。

グルーヴという感覚を知ってしまうと、それをクラッシック音楽にも適応して考えてみたくなった。

私はずっと、グレン・グールドの凄さが分からなかった。
しかし、〈タイム感〉を知ると、グレングールドの凄さは、〈タイム感〉があることであり、〈タイム感〉と独立した音だしのタイミング〈クロノス時間〉を持つことが理解できた。

つまり、グレン・グールドの演奏は、一人で弾いていても、「連弾」のように聴こえるのである。



そして、ある時、FMラジオでブラームスの交響曲を聴いていたら、すべてのパートが休符(グランドポーズ)のところで、〈タイム感〉が無くなるのを感じた。つまりは、曲中で、アタッカでなくなったのである。
これは、日本人指揮者に違いないと思い、最後まで聴いていたら、小澤征爾氏の指揮とアナウンスされた。

小沢征爾氏は山田氏をサイトウキネンに推薦したのだから、同じ系統である。
そもそも、斎藤秀雄氏のチェロ演奏は、共演者(園田高弘)にとってやりにくいという発言があったのだから、小沢氏の師匠も〈タイム感〉がなかったのだろう。

〈タイム感〉のない演奏は「糸の切れた凧」。
このことを教えて貰えなければ、牛田智大君は、ショタコンのアイドルでしかなく、世界的な名声は得られぬに違いない。

つまり、テンポルバートの量でエモーションを表現するのではなく、音出しとは別にタイムを持つことが重要。そのことを、私のような素人が理解しているのだから、超一流のプロの審査員たちは・・・。




山田和樹氏は、指揮者コンクールで優勝するレベルの才能であって、今後、〈タイム感〉の形式知化がすすむなら、名声は陰るに違いない。

というか、小沢征爾、佐渡裕レベルの指揮者であるということであって、彼らをリスペクトするような凡庸な音楽ファンなら、何の問題はない。
ブザンソン優勝のラベリングに満足して、彼の演奏に心酔すればよいのである。



名声がなくとも、すごいものは凄い。
ヴァレンティーナ・リシッツァの演奏を引用しておく。



追記:
詳しく知りたい人は、以下からの記事をお読みいただきたい。

Dream Jazz Band、日野皓正、中学生たちの音楽の背景。(その1)

http://sponta.seesaa.net/article/453170853.html#more
posted by スポンタ at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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