2011年02月10日

スポンタの「この国のかたち」04:演劇という洗脳ツール…。


さて、留学生のMさんが俳優志望ということなので、俄然、演劇の話題になった。



私は、「心理主義的な潮流が、現代の日本を迷わせている」と感じている。ひと頃の脳学者・茂木某氏の異常なブレークなどは、そのひとつのプロバガンダではないか。と、直感している。

演劇でいうと、それはスタニスラフスキーシステムということになる。

セリフが感情をつくるのか。pathos make logos.
それとも、
感情がセリフをつくるのか。logos makes pathos.

という命題があるが、スタニスラフスキーシステムは、感情がセリフを作ることに拘泥している。「役になりきること」をスタニスラフスキーシステムは目指している。

そんなことをデンマークからの留学生に話すと、「スタニスラフスキーシステムには、二通りあって、ひとつはロシアのもの。もうひとつはアメリカのもの」だという。
そう。スタニスラフスキーシステムは、ロシアの演出家スタニスラフスキーによって作られたが、普及したのは、リー・ストラスバーグがつくったニューヨークの演劇学校アクターズ・スチューディオだともいえる。
なんでも、「ロシアのスタニスラフスキーシステムは、役に入りつつも自分を捨ててはならぬのに対して、アメリカのスタニスラフスキーシステムは自分を完全に捨てなければならぬ」という。そして、「私はロシアの方が好きです」と…。

私も、彼女の思いに同意する。しかし、そもそも、「感情がセリフを作る」ということを疑ってみる必要があることを私は、提示しなければならない。
「ドラマは俳優の心の中で起きるのではない。観客の心の中で起きるんだよ」。
実演者である彼女には、理解が難しいと思ったので、対話を続けた。
「涙を出さなければならないお芝居があったとき、どうしている?」。
「台本が素晴らしければ、役になりきることで涙を出すことができる。でも、それが出来ないときは、大好きなペットが死んだときのことを思い出すようにしているわ」
私は、彼女からその話を引き出したとき、もう説明は必要ないと思った。そして、彼女も、直感的に理解してくれたよう。
私は、「あなたが大好きなペットのことを観客は知る由も無い」などと付け加えることはしなかった。

留学生嬢は、天照大神の天岩戸のストリップが日本の演劇の起源ではないか。だと、教えてくれた。確かにそういう説もある。そして、西洋演劇においても奉納演劇がある。
とはいえ、西洋の演劇について、prostituteによって行なわれることが多く、それが演劇者たちを差別してきたと事も無げに語った。曰く、prostituteは最古の職業であると…。
私は、チャールズ皇太子が、「私は最古の職業についています」と、かつて、王様という職業と売春婦を匂わせながら語ったことで、売春婦が世界最古の職業であることを知った。

彼女は、歌舞伎など女性俳優が登場しない演劇は、売春と決別するものである。と、理解したようだ。そして、売春の暗喩として演劇が成立することで、演劇が差別されてきた。そういうことを彼女は語ろうとしていたのかもしれぬ。



私は、日本における性の営みが、西欧のそれとは異なることを、指摘した。
純潔主義が広まったのは、徴兵制が施行された日清・日露戦争の頃であり、そもそも純潔は不吉な印でもあり、破瓜することは集落の長老の仕事でもあった。さらに江戸時代、「おしろいチンコ」、「扇子チンコ」、「砂チンコ」など、歌舞伎役者、落語家、力士などが裕福な婦女子の男娼であったことも紹介する。
そして、江戸の吉原は売笑窟ではなく、花魁が高級娼婦でありながらも、見下されることはなく、文化の中心であったことは、日本人の性と芸能に関する特異性を象徴しているのではないか。と、指摘した。



西欧の基本的なバラダイムである二元論の中に、性も取り込まれており、それがslave & master的に行なわれていたのがprostituteであり、演劇はそれと無縁ではいられなかった。
一方、日本はそのような桎梏はない。エロスとタナトスなどという二元論さえない。
勿論、近松の心中物などがあるが、それは、階級社会の中での自由恋愛の軋みを描いているが、それとて、成功する男女がmaster & slaveな関係に陥るというのではないだろう。

演劇のドラマツルギーが、弁証法に準拠しているものであり、それが洗脳装置のひとつである。演劇はとても危険なものである。
洋の東西を越えて、そんなことを二人で頷きあった…。
posted by スポンタ at 09:21| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | この国のかたち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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