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「マスコミの報道が大政翼賛的であり、大本営発表的である」と批判する人がいる。だが、それは当事者のステークホルダー(利害関係)に従ったものであり、それ自体を批判することに価値はない。
有体な言い方をすれば、犯罪者が自分を守るために逃亡するのは仕方のないことであり、妻が夫のために嘘をつくのを批判しても仕方がない。のりP事件においても、親族が彼女を匿うのは仕方の無いことであり、罪にはならぬ。と、テレビ報道は指摘していたっけ。
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つまりは、次のような情報タイプが網羅的に提示されないならば、「言論空間の健全性」は成立していない。
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・公式情報(大本営発表・当事者情報)
・ポジティブ情報(擁護者情報・ファン情報・とりまき情報・利益関係者情報)
・ネガティブ情報(損害関係者情報・愉快犯的発信者による情報)
・アングラ情報
・陰謀情報
・非公式情報
・ビジネス要因による作為的情報発信
・思想・宗教要因による作為的情報発信
さらにいえば、「バラエティーのある情報空間が成立していない」なら、受信者を含めて、当事者間に何らかの「暗黙の合意(言わずもがな)」があったと考えるべきだろう。
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さて、すでに私は「先祖供養」という小説を書いている。
小説・先祖供養.pdf
322枚の長部なので、梗概は以下である。
「先祖供養」梗概.pdf
何故、そのようなものを書いたかといえば、放送法の規定により、放送では、「科学的でない」ものを放送してはならぬ。と規定されているからである。
私は、そのような放送の歪みを衝いたのが、オウム真理教による一連の出来事だと思っている。
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アンケートなどによれば、日本人の3/4は幽霊の存在を否定していない。なのに、幽霊を扱うことが禁止されているならば、超存在・超常現象に関わるような「非科学的な領野」はテレビにおいて興味本位に扱われ、極めて異端な宗教があたかも正統であるかのような文脈で語られることになってしまう。
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学習参考書の出版社で若い人たちが信用しかねない出版社が超常現象の唯一といっていい月刊誌を発行しているのは、なんとも危うい現象である。
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新ファーストレディー氏も、ありふれた超常・頂上体験を語っているに過ぎず、それにつき神秘主義の中でどのような解釈・位置づけがあるのか一切の勘案はない。
これとて、現在の言論空間の歪さを表現している。
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ロゴスの専門家でしかない有名東大学者の中沢新一氏がチベットに行って、たまたま出あったに過ぎぬインド仏教の末派に神秘の真髄を錯覚し、オウム真理教を擁護したのもその類のひとつのエピソードだろう。彼は雑密にすぎぬものを持ってきた過ぎぬ。
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そのような現象にいかに対抗するか…。私が小説「先祖供養」を書いたのは、そのような発信意図があったからである。
葬式仏教である日本人の死生観・仏教観が間違っているものではなく、きわめて自然な所作であることを読者はこの小説から感じ取っていただければうれしい。
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勿論、読むことを閲覧者に強いることはできぬ。
ただ、スポンタとしては、私の研究領野がロゴスの範囲にとらわれていない。そのことを明確にするために、ウェブ上にアップすることにした。
読まれなくたっていいさ。
ま、それは私の負け惜しみかも知れぬが…。