2009年04月01日

小説先祖供養_97

ターミナルケア…。
「いえ。スピリチュアルな世界の重要さを知って、何とか先生の力になりたいと思ったんです。外国人の先生なら、どんな突飛なことを言っても、日本人は相手にしてくれるでしょう。それに、先生の実力からいっても、この日本で新しい価値観を生み出すことは可能でしょう」
「そうですか。君はコナン・ドイルを知っているかな」
「コナン・ドイル? たしかシャーロック・ホームズの作者ですよね」
「コナン・ドイルはスピリチュアルな世界の研究者としても有名だが、彼は、霊的な出来事を電話のベルだと言ったんです。霊的な出来事っていうのは、最近の言い方でいえば、霊障というのかな。そして、ベルの音は重要ではない。電話の内容が重要なのだと付け加えたんだ」
「では、霊障には意味がないと…」
「コナン・ドイルが生きたのは百年以上も昔のロンドン。それから世界中の研究者がスピリチュアルな世界を証明しようと努力しているが、いまだに実を結んでいないのが現状だよ。たしかに、現代の科学が生み出した最新の電子機器を使っている。でも、百年経っても今日の学会のようにベルの音ばかり研究していても意味はないんだよ」
 若者が走ってきて、ラップマン教授にタクシーがやってきたことが告げられた。教授は私に軽く会釈をすると、ホールの前に横づけされた車に乗り込んだ。
 キャンパスの並木は赤く色づいていた。私は並木に沿って、キャンパスの中を駐車場への向かった。すると、人気のないバス停に五十歳過ぎの男性がバスを待っている。先ほどの質問者である。
posted by スポンタ at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説・先祖供養 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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