2009年03月20日

小説先祖供養_85

私には霊感はありません。予感/直感があるぐらいかなぁ…。



 妻は地図の上でペンデュラムを握り、ダウジングを開始した。妻の指示で私は真新しい地図の上に物差しで直線を引いていく。六本の直線が地図の上に引かれたが、その交点はひとつの場所に集まってこない。脇を自動車が通り過ぎる路肩に駐車した車の中では、さすがの妻も集中が難しく、ダウジングが難しいのだろうか。
「もう一度大きい地図でやってみるわ」
 妻は昨夜使ったロードマップを広げた。
「ちょっと待って」
 昨夜引いた直線が残っていると妻の無意識に影響が出るかもしれない。私は地図帳に消しゴムを滑らせた。
 妻は、再度ロードマップの上でペンデュラムを握り、私が物差しで直線を引いていく。すると、ダウジングの直線は昨夜の結果よりも三百メートルほど北の位置で交わっていく。
「とりあえず、近くまで行ってみましょう」
 私たちが車を停めている伊勢崎町からペンデュラムが指した場所までは二キロと離れていない。私は目印の小学校を目指して車を走らせた。
 小学校の正門の前は、片側二車線の大きな道路で、路肩にはガードレールに守られて歩道が造られている。正午にはまだ間がある平日のこの時間、人通りも車の量も少ない。あまり人に見られないように、私は歩道橋の影に車を停めた。
 妻は助手席に座ったまま、先ほどの住宅地図を出して再びダウジングを始めた。ダウジングのようなオカルティックな作業を誰かに見咎められるのではないか。そんな不安な気持ちのまま、私は妻の指示にしたがって、地図の上に直線を引いていった。だが、それは思い過ごしであり、道端を通り過ぎる人が車の中のダウジングに気づくことはなかった。
 地図上に引かれた直線の間隔は下に行くほど狭くなっている。
「ペンデュラムが南側に引っ張られるわ」
 私は、住宅地図を捲って、南側にあたるページを開いた。
 あたらしく開かれたページでも、私は妻の指示に従って何本もの直線を引く。三本の直線が交差した場所に安達という人の家だった。
「この家に、浜月家のお墓があるのかな」
「わたし、そこより、その南側の刈谷さんの家が気になるんだけど」
「ほんとだ。刈谷栄作ねぇ。福次郎さんの戸籍には載っていなかった名前だから、親戚じゃないんだろうけど、もしかしたら、遠縁かな」
 妻はそのあたりの各家ごとにペンデュラムをかざしていく。
「浜月家のお墓があるのは、ここでしょうか?」
 妻はしらみ潰しに総ての家をダウジングしていく。ペンデュラムがイエスを示す時計回りを示したのは、刈谷栄作と書いてある一画だけだった。私は妻から地図を受け取ると、刈谷栄作の家の前に車を移動させた。
posted by スポンタ at 08:46| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説・先祖供養 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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