2009年01月08日

小説先祖供養_26

儀式…。
「喪主は誰がやればいいんでしょうか」
 妻は葬儀を取り仕切るミナミ祭礼の亀井に尋ねた。
「お母様のご遺族はどうなってらっしゃいますか?」
 亀井はまるで自分の仕事が天職といった優しげな表情で、目の前にある祭壇のパンフレットを閉じながら話し始めた。
「母は連れ合いに先立たれ、上の姉と下の姉はそれぞれに嫁いでいます。ですから、刈谷姓を名乗っているのは末っ子の私です」
「ああ、それなら喪主は奥様でよろしいでしょう」
「でも、長女が喪主を務めるというのが普通なのでは」
「そんなことはないですよ。長女であろうと末っ子だろうと、名前を継いだ方が喪主になられるのが普通ですね。そうは言っても、男兄弟の場合は、苗字が結婚しても同じですよね。それならば、必ず長男が喪主をなさるのかといえばそうとは限らない。たとえば、ご長男が大学を出られて東京で暮らされている。次男の方が故郷で家業を継ぎ、ご両親様と同居されている。そういう場合、かなりの確立で次男の方が喪主を務められていらっしゃいます」
「そうですか」
「刈谷さまの場合も、奥様が喪主を務められ何の問題もございませんよ」
「はい」
「でも、もし大切になさりたい方がいらっしゃっるのならば、その方に葬儀委員長をお願いしたら如何でしょうか」
 妻は亀井の言葉に頷いて、寛美に相談を持ちかけた。
「お姉ちゃん。お義兄さんを葬儀委員長にお願いできないかしら」
「そんなこと気にしないでいいわよ。お母さんのことは、あんたがみんなやったんだから、最後も自分の思う通りにやればいいのよ」
 結局、義母・まきの葬儀の喪主は妻、葬儀委員長は立てられないことになった。
posted by スポンタ at 19:13| 東京 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説・先祖供養 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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